遺言
遺言書の作成
最近は終活ブームで書店に行けばエンディングノートが市販されています。相続対策としても利用できますし、なにより残された家族のためにもなります。ただし、法的拘束力のある文書とは言えないので、あわせて民法で定められた形式の自筆証書遺言や公正証書遺言を作成することをおすすめします。
遺言書を作成するにあたってまずその方式を決めなければなりません。
民法で定める遺言の方式には、普通方式と特別方式の遺言があり、普通方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。ご参考までに特別方式の遺言には、死亡危急者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言の4種類があります。特別方式はめったなことでしか利用されません。実際に多く利用されているのは普通方式による自筆証書遺言か公正証書遺言になります。
近年は遺言の作成意義が一般市民の間で浸透しつつありますので、書店には自筆証書遺言のマニュアル本がたくさん並んでいます。ですので遺言書を作成しようという方であれば基本的な仕組みや作成にあたっての留意点などはご存知の方も多いものと思われます。
遺言は民法でいうところの相手方のない単独行為にあたり、つまり単独での法律行為にあたり、遺言としての効力が認められるためにはそもそも遺言能力は備わっているのか、あるいは加除訂正等の方式に誤りはないかといった細かな約束事が定められています。
この点において、公正証書遺言ですと法律の専門家である公証人が作成に関与しますので、方式の不備等で無効になったりすることが回避できます。
そのため自筆証書遺言の作成にあたっては誰にも内容を知られたくない場合は別として、専門家に一度見てもらうと安心です。
自筆証書遺言の作成
自筆証書遺言の書き方手順としまして、まずは自分の財産をすべて確認して、不動産であれば土地や建物の自分名義の資料を準備します。もし以前の相続や売買で自分名義に変更していない不動産があれば名義変更をしておいたほうがいいでしょう。すっきりしたかたちで承継しましょう。
次に銀行の預貯金などの債権やまた借金などの債務を確認します。相続ではプラスの財産のみならずマイナスの財産である債務も承継しますので、そのあたりのことも遺言書に盛り込む必要があるかもしれません。そして、遺言書を書いた後でも財産は大きく変動するかもしれませんのでその場合には改めて遺言書を検討する必要性が生じることがあります。
第二段階としてこれらの財産を誰にどう振り分けるかを検討します。この際に、遺留分(相続財産に対して相続人に保障された一定割合)に配慮し推定相続人間で偏りが大きすぎる場合はその理由と付言事項(家族への感謝の気持ちなどを述べる項目)に遺留分減殺請求はしない旨を伝えておくことも必要になってきます。
そして、これらの遺言の内容を実現してもらうために誰に執行してもらうかを決めます。遺言執行者の指定がなければ、相続人全員が協力して行うことになりますが、相続人のうち一人でも遺言内容に納得が得られない場合は手続きがうまくいかないことも考えられます。そのあたりのことも含めて信頼のおける第三者である専門家を遺言執行者として指定しておくことも必要かもしれません。
自筆証書遺言の形式面での留意点
自筆証書遺言の形式面ですが、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに押印することによって成立するとされています。当たり前のことですが、自書とは自らの手で書くことをいい、自書といえるためには文字を知り、かつこれを自らの意思に従って書く能力が必要です。ワープロで作成した文書や代筆してもらった文書は自書の要件を満たしません。
また遺言の成立時期を明確にするための日付ですが、全文を書いた日に日付を全文の最初か最後に記載し、また封筒に同年月日を正確に記載します。日付だけ一年後に記載したりすると無効になる可能性があります。
氏名は戸籍通りに書くのが問題ないでしょう。日付や氏名は、複数枚にわたる場合にはそのうちの一枚に記載があればよいとされています。
次に押印ですが、文書の真実性を担保するため遺言者の同一性および真意を確保するために、遺言書本文の署名の横ないし下に押印されていれば問題ないでしょう。また封筒への封印は要件にはなっていませんが封印している方が改ざんのおそれが少なくなります。印鑑は認印あるいは拇印ないし指印でもよいとされていますが、実印や銀行届出印が望ましいでしょう。
自筆証書遺言のメリットと注意点
遺言書作成にあたって、自筆証書遺言を作成する場合のメリットや注意点ですが、メリットとしては思い立ったときいつでも作成でき特別な費用はかかりません。
また、何度でも作成し直すことも可能で、前の遺言書に書いた内容を修正したり撤回することが可能です。内容の被らない部分は前の遺言内容のまま有効です。つまり、日付の新しい順番から優先されます。ただこの場合でも、複数通作成するのではなく前の遺言書は破棄して作り変えたほうがさっぱりします。
そして、内容を生前誰にも知らせることなく秘密にしておくことができます。ただ心配なのは遺言の効力が発生した後に発見されず相続人の間で遺産分割協議が成立し、その後で発見されたりした場合は非常に面倒なことにもなりかねません。せっかく書きしたためた遺言が反映されないままになってしまいます。
この対応策としては、遺言書のなかで遺言執行者を指定しておき、その遺言執行者に第三者である弁護士、司法書士、行政書士といった専門家や親しい友人等にお願いしておくのもひとつですが、その場合、遺言者が亡くなったということを直ちに知らなければ意味がないので、そのあたりの状況が把握できる体制を工夫する必要はあります。
遺言書種類 |
当事務所報酬 |
その他費用 |
---|---|---|
自筆証書遺言原案作成支援 |
43,200円 | |
自筆証書遺言チェック |
7,560円 | |
公正証書遺言原案作成支援 |
43,200円 |
公証人手数料(内容により確定) |
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